詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

息の吸える場所へ行くまで、夜泳ぐ魚になって

空が一面の暗い藍色から、絹を重ねたような灰紫へと白けてくる。
そんな真夜中から夜明け前にかけての時間に安らぎを感じる。

さざ波の立つ海辺で寝転んでも、国道沿いを歩いていても。
誰かと出会う心配もなく、ひとりを堪能できる時間。

どこまでも自由で、結局どこへも行けない不自由さが混ざる。
夢見心地な気分と不安定な気分を抱えて、長い散歩をする。
ちょっとした切なさも、夜の風景には似合っている。

帰りたい家は無いけれど、帰らざるを得ない家がある。

真夜中の脱走も、夜歩きも、野外で眠ることにも慣れている。
たまに通る車のヘッドライト、白い三日月、ポツリと街灯。
足元の薄い影がくるくる回りながら着いてくる。
ドライブスルーの灯りを見て、しばらく佇む。

あとは来た道を帰るだけで、窓から帰ってベッドに潜るだけで。
夜が明けて、緊張と絶望の一日が始まるだけだ。
息を上手に吸えない私は、砂浜に打ち上げられた魚と一緒。
口をパクパクさせながら、言葉が出ない家の中。

夜歩きの痕跡を一切合切消し去って。
死んだ魚のフリをして、次の晴れた夜を待つ。
雨が少ない冬の夜は、一番綺麗な大気が吸える。

もうすぐ、もうすぐ、この家と街を捨てる日まで。
私は死んだフリをする魚。
鱗一枚残さずに、去ろう。