詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

熱い血

何でもない秋の午後
日当たりの良い花壇にひとり
級友の声は遠くで笑っている

土埃をかぶって落ちていた
分厚いガラス瓶の欠けらがひとつ
こんなに厚いガラスでも
わたしを傷つけうるだろうか

わたしはそれを手のひらに滑らせた
皮膚は痛みもなく切れて
鮮明な赤い血が溢れ出した

手のひらに流れる血は熱い
土の上に滴って
小さな溜まりができていた

自分の血が
こんなに熱いと思わなかった
これが生きている証なのか
ふわふわとした体感は
強い主張はないようで

理由もわからず
私は熱い血に安らいでいた
なんて気持ちがいいのだろう

陽の光はやわらかく
世界が優しく見えてくる
この血はいつまで流れるだろう
ずっとずっと
この安らぎを感じていたい

試みは級友の叫び声に止められた
私はガラスをそっと隠し
自分の迂闊さを笑ってみせた

死のうとしたわけじゃない
ただの好奇心
いいえこれはただの事故

血の熱さを感じている間
麻薬のような多幸感に
私の心は癒されていた

そのまま死んでもいいほどの
魅惑的な心地よさ

わたしのことはほっといて
幸せに抱かれているところな
このまま死ねたらサイコーなんだ