詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

怪月

畦道あぜみちの真ん中で
子供の私が見た怪異

西の稜線りょうせんに沈みかけたかすれ色の太陽
東の遠い街並みから半分出てきた赤い月
大きく濃厚な赤が空に溶け出している

月が燃え上がっている
いやあれは太陽か
では西のあれが月なのか

これは凶兆に違いない

その赤は
キラウェアの熔岩に似て
どうにも禍々まがまがしい色で

畏れおののき立ちすく
我に返って走り出す
世界は今宵終わるのだ

息を切らして逃げ帰る
呑み込まれて溶かされる
はしれ はしれ はし
溶け出す赤よりもっと疾く

立ち止まった庭先の上
いつも通りの夜空があった
明日も世界は続くらしい

私は黙して眠りについた



#詩人の文学館 「空」