詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

残されたもの

地図を捨てて家を出た
レニー・クラヴィッツを聴きながら
はしって はしって はしって はしって

三十年も私は何をしていたのだろう
何物も掴めず 何者にもなれず
喪って 喪って 喪って 喪って

波に強奪され 人にたばかられ 欲望に翻弄され
虚無感に涙し 怒りに戦慄わななき 絶望に震えて
確かなものなど無いことを知った

それでも いま 手の中をよく見れば
雨を避ける屋根 愛らしい獣 ささやかな温もり
これだけあれば 充分だろう

それでも なお
この小さな幸せを守るため
離さぬために また立ち上がる
歩くより遅くとも 走っていく



#詩人の本懐 「平成」