詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

逃走の手段

押入れに閉じ込められる
布団があったかいから
気持ちが良くて
潜りこんで眠ってしまった

閉め出された冬の夜
寒いから犬小屋に入った
大きな犬があったかくて
寄りかかって眠ってしまった

ある日は夕飯を抜かれた
怒られてまで食べたくないから
水だけ飲んでお腹いっぱい
いつも通りに眠ってしまった

理由もわからず怒られて
言い返すのも怖すぎて
心がひどく疲れてしまい
いつもどこでも眠ってしまう

祖母から引き離され
両親と暮らし始めた六歳の秋
何をしてもしなくても
ヒステリックに怒られた

母の怒りにあらがったとて
仮に許しを乞うたとて
エネルギーを捨てるだけ

やさしい暗闇
柔らかな布団
温かな犬の体温と
空腹時に食べる夢

眠ってしまえば
大丈夫
何もかもが
大丈夫だと思えてくる

理不尽な痛みも恐怖も疲れも
眠ってしまえば分からなくなる
だからいまは
とりあえず眠ろう
夢の中へ逃げこもう