詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

虐待の後遺症

すっかり忘れていたのだ
おびえていた日々
孤独だった子供
憎しみに震えた夜

獲得した自由に溺れて
すっかり忘れていたのだ

それは突然やってきた
体が硬直して動けず
意識は記憶の中の自分へ飛んだ

その時私は再び
蹴られ
殴られ
髪をつかまれて
引きずり回されていた
踏みつけられていた

恐怖と屈辱とに襲われて
まばたきもできず
気がつくと
そこはいつも通りのオフィスで
私は机の前に立ち尽くしていた

その日から
何度も何度も
過去の父や母の暴力の最中さなか
過去にとらわれていたおりの中へ
意識を連れて行かれ
苦しみは再現された

私の心は再びむしばまれ
肉体もすっかり壊れた

意思に反して
飛び跳ねる体
暴れる手足
排出される涙
気を失い
正気を失う

いつしか私は
ベッドに横たわり
天井を見つめたまま
人間であることを放棄していた
生命体であることをんでいた

過去の闘いの後遺症は
忘れた頃に訪れる
逃げきったと思っていても
自由になったと感じていても

私の首や手足には
かせがはめられたままで
刑場へと引きられていくのだ

繰り返し
繰り返し
夜に朝に日中に
夜の夢に白昼夢

見知らぬ友よ
ゆめゆめ油断するなよ

数十年後に
遠のいた記憶が
あなたを捕らえにくる

虐待の後遺症は
前触れもなく忍び寄り
背後から襲いかかるのだ

まだ見ぬ同志よ
ゆめゆめ油断するなよ

この闘いに終わりはないのだ