詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

獣の執念

踏切を渡る途中で立ち止まる
歩道橋の上から道路を見下ろす
ホームで通過列車に引き寄せられる
包丁を握りしめて首に手を当てる
ベランダの向こうへ意識が走り出す

現実に引き戻され
かばんを抱きしめて
しゃがみこむ
鼓動が乱れる

自死は考えていない
それなのに
ふとした瞬間
死のうとしている

無意識に
私は私を殺そうとしている

どんなに過酷な状況にも
負けないと決めた
どれほど自尊心が傷ついても
死なないと誓った

それでも
心の奥底で
逃げたいと思っている
死にたいと思っている

やられっ放しは性に合わない
やり返さなければ死ねやしない

それでも
なぜか食べられない
日に日に痩せ細っていく
ゆるやかに死のうとしている

脆弱ぜいじゃくな自分が
貧弱な自分が
私の中にいるらしい

そんな奴はひねり潰せ
下腹に力を入れて立て
どこまでも強くあれ

見上げれば鈍色にびいろの空
遠くに雷光が走る
あの光に打たれようとも
私は大地を踏み締め立ち続ける

何度でも誓おう
獣のような生への執着を
身の内に隠し生き延びることを
いつか必ず勝鬨かちどきを上げることを

泥臭い執念を思い出せ
獣の咆哮ほうこうで弱気を払え
怒りに火をともして
生きろ