詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

泣けない子供

涼しい初夏のことだった
日差しはキラキラして
砂利をいた庭は乾いて

私の脚は曲がっていて
やっと歩けたのは三歳で
十数歩進むと必ず転んだ

私はひどく泣き虫で
あの日も転んで私は泣いた
膝を擦り剥き
手には砂利が食い込んだ

ばあちゃんの足が目の前で止まり
いつもの通り
ちちんぷいぷいのおまじない
期待をしていてスカされた

三歳に
もう三歳になったのだから
一人で立てと
泣いてはならぬと
怖い顔でばあちゃんは言った

その日以来
私はほとんど泣かなくなった
泣いてはならぬと心に決めた

我慢しないと嫌われる
大好きな人に嫌われる
泣きたい時は隠れよう
声を出さずにバレぬよう

父も母も
泣いてはならぬと
私を叩いた
叩かれて泣くと
泣くなと殴った
うるさいと蹴った

鬱陶うっとうしいと母が言う
面倒臭いと父が言う

大人は泣いている子供が嫌い
泣き声が許せず
泣き顔も我慢ならず

子供は泣いている子供が獲物
いじめるチャンスだ
意地悪してやる

大人も子供も残酷で
弱い者を見逃さない
傷ついた子をまた傷つける

三歳になった初夏の日から
私は泣くのが下手になった
涙はまぶたの奥に溜め
枕に顔を埋めて流す

私は今夜も泣くだろう
声もなくひとりぼっちで
夢を見ながら涙を処理する