詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

森とパステルと憧憬と

朝露が光る木苺の実
蕗の茎は半透明な緑
田んぼ一面の蓮華草
白詰草で作る髪飾り
ナズナのベルが鳴る

森で見つけた家には
井戸とランプと木炭
窓を覗き逢ったのは
私より年上の女の子
赤い綺麗な爪をして

スケッチブックの絵
美しい色のパステ
横顔が綺麗な女の子
黒いまつ毛と白い肌
大人っぽさに憧れた

彼女はおじさんの娘
酔っ払いのおじさん
いつでも酔っている
一升瓶をたずさえて
ふらふら森へと帰る

あの綺麗な女の子は
その後どうなったか
夜の街へ出ただとか
噂は定かではなくて
本当の事は判らない

私は彼女がうらやましい
おじさんは酔っ払い
村の人は避けていた
けれどひとり娘には
やさしい父親だった

綺麗な色のパステ
ひとり娘への贈り物
あの美しい女の子は
寂しげに見えたけど
愛情をも貰っていた

私は彼女が羨ましい
綺麗な色のパステ
自分で買ってみても
そこに温もりはない
どんな色を重ねても

私と彼女の寂しさは
似ているようで
違っていた

誰もいない山小屋は
今も森にあるだろか
つたが絡み朽ち果てて
森の奥に埋もれたか
続く道も消えていた

寂しい女の子が二人
黙って微笑み合った
森の中の山小屋の中
幻のような美しい時
まるで音がない記憶

憧れと羨望せんぼうとを含み