詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

凶暴な種

わたしはあざむいている

人はわたしを
お人好しとか
人畜無害とか
そんな風に感じるらしい

また別の人は
優しい人とか
ふところが深いとか
評してくれたりもする

わたしは必死に隠している

凶暴なわたし
衝動的な殺意
獣のような咆哮ほうこう
放たぬように抱え込んでいる

キッチンで包丁を握りしめた夜
泣く赤ん坊を蹴り上げる白昼夢
選挙カーを襲撃したい朝

わたしは怯えてもいる

ホームの先頭に立たない
背後の気配に警戒する
人混みの中には紛れない

誰かが突き飛ばす
誰かが後ろから襲ってくる
誰かが刃物を振り回す

わたしが些細ささいなことで
暴れたいように
誰かが脈絡もなく
暴れるかもしれない

傷つけないよう
傷つかぬよう
わたしはわたしを閉じ込めた
この部屋から
わたしは決して出てはならない

今は遠くなった日々
父の暴力がわたしの内に
凶暴な種を植え付けたのだ

暴力は罪だ
暴力は伝染うつ
暴力は悲しい

凶暴で獰猛どうもうな自分を
なだめながら暮らす日々は
孤独すぎて
悲しすぎて
息苦しい