詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

冷蔵庫は魔境

母の冷蔵庫はいつもいっぱい
冷蔵室も野菜室も冷凍庫も
ぎっしり何かが詰まってる

なのにどうして
食べられるものがないの
なのにどうして
それを調理するの

わたしは時々
ご飯を食べて吐きました
それを見て
母はせせら笑うのです
同じものを食べたのに
変な子だねと

野菜室はカビだらけ
謎の液体が溜まっている
醤油の瓶にはコロニーが
パンは半分緑色

冷蔵庫からはみ出た野菜は
床の上で転がって
ジャガイモからは茎が伸び
人参からは葉が少し
かぼちゃは色とりどりまだら模様

冷蔵庫の奥地には
瓶に入った黒いもの
元は何かわからないまま
正体不明のミイラの瓶詰め
神出鬼没の腐乱死体

冷凍庫には白い塊り
打ち砕かねば中身が分からぬ
凍りついて
取り出すこともままならない

掃除をすると
何も残らぬ冷蔵庫

ゴミを捨てて
消毒をした頃
母は怒り叫ぶ
まだ食べられたのに

母の料理は食べられない
魔境の食料
わたしの体に合わなくて