詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

震えるヤマアラシ

亀の子だわしで
背中を強くこすられていた
歯を食いしばり
痛みをこらえ
無数の傷が赤く腫れた

問題集を解いていると
斜め後ろに立って
見張られた
間違えると叩かれる
鉛筆を持つ手が震えた

猫背になると
プラスチックの定規を
乱暴に背中に差し込まれた
長い定規の角は
何度も皮膚を削った

いつも背後が気になって
後ろを人が通過するだけ
後ろに誰かが立っただけで
私の身体は一瞬で固まる
首が竦んでガチガチになる

やめてほしいと懇願しても
母は決してやめなかった
定規が竹じゃないから
お前は幸運なのだと言った
私の時は竹だったのだと

教師や先輩
指導のために背後に立たれ
鼓動が速く不規則に
手は脱力し首も脳も硬直する
あごも震えて話せない

弱さに気づかれないように
私は喧嘩腰で鋭く言う
「後ろに立たないでください」
怯えを悟られないために
毛を逆立てたヤマアラシになる

私の背中は傷だらけで
おそらく脳も傷だらけで
赤く赤く腫れ上がり
生きづらい人間になった
毛を逆立てては嫌われた

時が経ち
毛を逆立てずに回避する
そんな技術を身につけた

それでも尚
背後を人が通過したり
後ろに誰かが滞在すれば
私の身体は硬直する
首がすくんで脳も固まる

だから
壁際が私の指定席になった
だから
暗い隅っこで警戒しながら
震えを隠して息をする