詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

夢の見方

夢が何かわからなかった
寝ている間の夢は知っている
それはそれは怖いもの
お母さんが追いかけてくる

大きくなったら何になる
将来の夢はなんですか

幼稚園の先生は残酷だった
そんなことを子供に問うとは
なんとひどい質問をするのか

お医者さんになります
そう答えられたら良かったが
それは祖母に与えられたもの
それは祖母を嫌う母に嫌われる

母は私に繰り返し言った
祖母の言葉は信じるなと
代わりの夢は与えずに
それでは正解がわからない

男の子の一人が言った
「俺んち魚屋だから魚屋」
親のようになりたいと
それは素晴らしい答えに思えた

お母さんの跡を継ぎたいです

それを知って母は怒った
泣きながら怒って私をった
母の商売は不本意
母の気持ちを分からぬ子だと
何年間も責め続けた

私になりたいものはなかった
将来なりたい自分がなかった
大人になったら
そんな先のことはわからない
母にとっての正解も

お花屋さんにケーキ屋さん
パイロットに戦隊ヒーロー
そんなものには興味がなかった

私の望みは一つだけ
自分の居場所を作りたい
それは夢なのだろうか
誰にも傷つけられない
私だけの安全な場所
それだけが願い

親も友達も
何もいらなかった
何にもならなくて良かった
居場所があればそれだけで

六歳だった小さな私の
ささやかで密やかな願い
それが夢とは言えなかった