詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

東京の街はゆらめいている

どっちを向いても
真夏の東京は
ゆらゆらとして
ピントが合わない

沸騰する直前の水
その中にいるみたいだ
あるいは分厚い
アクリル板の水槽

夜になっても
放射熱のドームに
丸ごと覆われていて
星も月もぼやけている

今日のお前は
言いたいことを言えたか
やったことに悔いはないか
耳の奥から問われている

こんな暑い夜に
答えを出そうとしても
頭もグラグラ煮えていて
質問の意味も揺らいでしまう

私は一日
何をしていたのだろう
誰かと何か話しただろうか
意味のある何かはあったのか

地球の重力は強く
アスファルトは熱を帯び
意識がゆるく溶け出して
身体もドロリと崩れそう

早く帰って
冷たいシーツをまといたい
クラッシュアイスを盛り沢山
頭の中に詰め込みたい

カフェのベルがチリンと鳴った
窓の向こうの涼しい暗がり
人々の多くは下を向き
手元の画面を見つめている

ねえ誰か
今日のあなたの一日に
何か意味をつけられますか
悔いることはありませんか

生活のためと人を傷つけ
傷に気づかなかったと言う
そううそぶく人たちの姿は
いつもゆらゆら妖しげで
昼も夜も陽炎かげろうの中

東京では
人も車も街並みも
振り返ったら消えそうで
私はいつも不安になる

私もゆらり
ぼやけていないか
私の今日は確かなものか
街の中で生きていたのか

東京の真夏の夜空は
いつもおぼろげ
私の意識も心もとない