詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

宵闇に漂う

 
病院の窓が切り取る情景
夜が来る前の一瞬
灰色がかった蒼い空
高層ビル群のシルエット

私の輪郭だけが泳いで
都会の街の中層に漂う

ビルの間から湧き出る
透明になった熱帯魚たち
色を失い骨もけて
地上の人波には無関心で

静寂の薄い膜に覆われて
街の時間はゆっくり流れ
私はゆらりと泳ぎ出し
上層へ向かう魚を追う

冥界めいかいのようなビル街は
白化したサンゴ礁に似て
魚たちの亡霊を招き
私の意識を溶かしていく

無機質になった私が
薄暗い空を泳いでいく
魚たちの亡霊と
一緒に上へと昇っていく

いつしか私も亡霊となって
暗くなってゆく空を
果てへと向かって
すうっとすうっと昇っていく

ふと
暗い病室に私は戻った
輪郭を忘れてきたのか
意識と身体がうまく合わず
ゆらりと軽く眩暈めまいがした

窓の外には夜景が広がり
魚たちは消え
病室の外の廊下から
生命の気配が聞こえてきた