詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

私の小さな獣

 
ガード下の水溜り
濡れて踏まれて汚れたチラシ
えた臭いのホームレス

駅横には片腕のない元老兵
駅前では行先不明の募金活動
ゴミ箱から溢れる宣伝物

都会は好かない
要らないものが多すぎる
きっと私も要らないものだ

傷みに耐えた過去は遥か
時に出没して私を脅すが
柔らかな心は丸めて捨てた

幻覚幻聴妄想よ立ち去れ

消毒液の清潔な香り
ピンと延ばした白いシーツ
虫一匹いない部屋

けがれた都会の
きよらかな寝床
田舎になんて帰れない

夜が来るたび親を呪い
朝が来るたび世間を唾棄だきして
昼下がりには怠惰をむさぼ

ガード下には水溜り
乾かぬうちに次の雨

私の中の小さなわたし
どこかで落としてきたようだ
最近胸が痛まない

誰か拾っていませんか
返して欲しいわけじゃない
それは毒を持っており
噛まれた人が危険です

都会の空気は煙っていて
光化学スモッグ注意報
それより危険なものがある

傷つけられた子供の傷み
子供の内に注がれた毒
デトックスは難しい

誰か拾っていませんか
小さなわたしを知りませんか
都会のくらがりで飼っていると
毒性が高まっていくのです
早急に処分してください

防護服にマスクに眼鏡
完全防備で都会を歩く
駅のホームで立ち止まり
私は小声で呟いた

猛毒の小さな獣が逃げました
気が立っていて危険です
ご注意ください
黄色い線の内側で・・・・