詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る (再びコチラに引っ越しました)

2019-04-24から1日間の記事一覧

冷たい心

台所で座り込んだ母 その髪を乱暴に掴み 喉元にナイフを突きつける父私は隣の部屋から様子を見ていた 無言で受話器に手をかけて 少しでも切ったら 警察を呼ぶつもりだった心は静まり返っていた 不思議なくらい冷えていた殺るなら殺ればいい 私は正当な手続き…

捨てられて拐われて

その日は突然やってきた両親と三人で住むことになる 言われなかったが感じとった ばあちゃんから引き離される どこかに連れていかれるとわたしは押入れに隠れ 布団の中に潜り込んだ けれどばあちゃんは知っている いつものわたしの隠れ家を怖い顔のばあちゃ…

男の子だったなら

男の子に生まれなかったのは 私の責任なのでしょうか母が娘は嫌だと言いました 父は女かと落胆しました 親類中が男だったらと残念がって小学校の入学式はパンツスーツで 男の子みたいな短い髪は モダンすぎて田舎じゃ浮いた 赤いランドセルが不似合いだった…

生贄の家出

不調で寝込んでいた私 いつものように父は蹴った いつもと違っていたことは 私が父を蹴ったこと殺されるだろうと思ったが 何故か父は怒鳴っただけで 「出て行けっ」と 怒鳴っただけで「わかりました」 小さなバッグひとつで家を出た 財布に千円と小銭が少し …

我慢するしかなかった

いつもお腹が空いていた でもそれを主張してはならない 食欲は隠さねばならない 何故だかそう思っていた離乳食になったとき 私は既に遠慮をしていた 祖母や他の大人の機嫌が 私の最優先事項だったぼんやりと思い出す祖母の左膝(ひざ)に乗っていた みんなが…

知らない私を想って

死体のふりして ベッドに横たわっていた 何故かしら 駆(か)けずり回りたい衝動 何もかも壊して回りたい 暴力的な衝動が 私の内から湧き上がり 部屋の中をピョンピョン跳(は)ねた自分があまりに恐ろしく 私は自分の髪を切った 坊主になるまで切り続けた …

協調性の正体

クラス中から爪弾(つまはじ)き 別にどうってことはない 本を読んでいればいい 孤高の人を気取ってたいじめへの参加要請 だってアイツ生意気じゃん 子供じみて馬鹿馬鹿しい 格好悪いことはしたくないパスと言って踵(きびす)を返した アイツも生意気だって…

母の日に寄せて

白詰草の花冠(はなかんむり) 野花を集めた小さな花束 母の日の赤いカーネーションどれも全部捨てられた 迷惑そうに捨てられたお母さんね カーネーションが嫌いなのそれは先生が配ってくれて お母さんに渡しなさいって 宿題みたいなものだった嫌いなのよ何…

悲しい写真

幸せな一枚を見た鮮やかな色のワンピースの母は モデルのような笑顔で 私はまだ赤ん坊で 母の胸元ではにかみ 全身で喜びを享受している心が止まる一枚も見たその一年後の私の白黒写真 瞳が憂いを帯びていた 大人のように物憂げな 一人だけの接写画像 見えな…